しっている
あのひとは
あいさない
みたくない
さわらない
甘いことばが欲しいわけじゃない
生ぬるい戒めなど
さわらないで
もっともっともっと
殴って罵って
むかついたなら
縛り付けて犯せばいい
棄てればいい
やさしさこそ
いらない
欲しくないよ
( 090706 )
みにくいか
足並べ
手を取り
おそれる我を
/
ちいちゃな砂のひとにぎり
こわすこどもが居ないのです
夕かげにながれるおやまには
水は湧かず花もない
( 090628 )
数週間、つまらない後悔ばかりを唱えて
「あなたのメッセージが、壊すもののことを思ったことがありますか」
ばかな音楽家を嘲ったこともあるではないか
赦すことも、赦されることも、それこそが無であることを
謝罪など、いらなかったはずで
もうなにも
いいませんよ
苦しくて、助けてくれる人が、欲しかったわけじゃあないのです
もうなにも
いいませんよ
また、暑い日に、また
梅雨入りです
( 090609 )
こんなに醜く
墜ちることを知るならば
ああはやくに冒さなければ
未然、推測、終止
「こんなにこんなに滑稽なやつはいないよ」
いないよ
いないよ
触れることはなかった
翳ることもなかった
みつめることはなかった
知るひつようなどなかった
「それは、拒否ですか、」
戒められることすら
わらえます
戯れを
( 090609 )
ミシン目をたどる一人称を
ねむる男の背の下に
ほしのながれる 廃屋を
夜は狡猾に羽をのばしている
その欲を
むかう四本足
のぞく目玉に突き刺す不敵の嘲笑を
つらなるとりをうちころし
土の下に嘆くうつけ共
はねを纏った足取りで
この指先がみえないか
やみは胎内に満ちていき
ほしは流れもう死んだのだ
爪のおとが凪いでいる
腐りかけの細胞すら輝かしい
さあ思い出せ
どこへむかう生命だ
その醜さを 血は思い出すのだろう
この夜に、打ち水を
( 090430 - 090515 )
この影が きえない きえない
うつろな男を 錆びた血液を
飲み干す うるおい そして
飢餓をうつした 緑の穂
このけしきは つかむときすら知らず
勝ちを諫めるのはだれで
悔恨を腐らせる救世主はどこだ
罫線を愛撫する くちびるを
うばう神など 居はしない
その筐体を 統べるのぞみを
踏み壊す 母性など
荒れる音の視線を、みつめるあながたほしい
( 090428 )
不眠と時計と水
血はとまらない
ああだって、空の瓶にきょうみなんてなくて
星形だって
こどもだって
よろこびもない
( 090412 )
葉緑のけしきに介在をゆるされた
ゆうきぶつ
言語のごみとぬぎちらかした靴下
( 090408 )
わらえません
でんきゅー
きこきこ
うるさい
ちかちか
あなたにひつようなのは
言語じゃない
(泣き虫の虫の生きた時間)
OYASUMI
( 090330 )
うそ
うそです
いまこうして
ふみばのないわたしは
うそです
うそ
うそは
かなしい
おどけて
うそ
うそ
( 090330 )
ミキサー
ぎゅいーん
ぶいーん
気 が 散 る
声、声、声がするのー
( 090330 )
さいみつの夜に投げおとす
くらいろの
指紋をとおざけ
海原をはしる光彩を
消えぬなら、なみだして
たいようを、うごかすうたごえを
血をながす、自我の失墜を、散った金属片
あつめてあつめて小惑星
( 090322 )
ほしは躍動し
大気圏とたたかいながら
太陽にまもられた大地をはこんで居る
広大な胎内に秒針をおもい
ふくらむ血脈を
ねがいながら
しろい指先をささげよう
よこやりいれる彗星を
ひたむきな草原に虫
つたう水をのみほす涸れたけものたち
13番線に投げこぼした後悔を
いまこうして
食すものもいる。
( 090322 )
影のびるペン先から
こぼれおちる有機的な青
死人の居たなつ
みだらな純血少女のてのひらに
にぎられた
けつえきのきぼうは
ふしだらに燃えている
( 090321 )
かどわかされた
夕暮れと塩水
彼は電線であり
女はきゅうたい
ひしがたに延びたポジフィルム
世界をつかむ、掌篇
( 090318 )
車輌のまどにうたれ
あまつぶが つらつらと
ひとのにおいのこもった
このボンベのなかで
今まだか今まだかと
えいえんに今をさがしつづける彼は
ふっとうの時間と
ホームを待っている
( 090303 )
かいだんの昇降を共にする
動的な意識をひきつれ
踏むつまさきは
ざぶざぶと降り打つ雨の穂に
手はしびれ
神経はころされて
さきほどの
おとこのはなしを
おもいだす
( 090303 )
と、つん
と、つん
けつりゅう
ごうごう
喰われたしんぞう
もうさいけっかんの再生
湯の中で消える意識と性欲
逆流します音感たち
蝸牛、蝸牛、まきもどしはできますか
( 090214 )
うかべた白色に
線でつないだにんげんの
最果てからとどいたほにゅうびん
いつもここにはしんぞう が
みゃっくみゃっくと錆びた鉄骨にあぶらをさして
気弱な弁護に甘んじ手をのばす
さしだされたぶつぎれの
そいつの首に告ぐ
ささやきは、
( 090209 )
路傍にさいた
浮いたまちなかの
テールランプのひかる
よぞらにも
けいとだまの月は
海をまちこがれ
ほつれた糸端を
むしたちにさしだして
( 081129 )
こわれた月の はしっこが
おちてきます
とぷん、
と。
ようすいのなかにしずみます
あかんぼがその足をけりあげて
みあげたしきゅうのかべはかがみになっていて
月のはしっこはたいようを見失い
ないています
おぎゃあとないて
あかんぼは不思議ないしころを
けりあげます
こつん、
こつん、
( 081102 )
まどからうけるひだまりの
ころがったけしごむに
すなのにおいをつかみとり
はこづめされた数人の
いしきとちしきがうかんでる
( 081102 )
ひどく事務的な
社交の謙遜がひびわれる
規則的な知識
まみれて欲望
けしされど、
されど、
されど、
ぐるり、
ぐるり、
こわれた計算機
わたしはどこへ
いくのでしょう
( 081029 )
連ね吊り下げられた豆電球
そらを抜き出たビルディング
まちのふゆは無感情
(あなたのそういうところが気に喰わない)
ダークスーツサラリーマン
(あなたの奥さんげんき?)
彼女のツンとした乳首がすきでした
(みじかいこゆびが気に食わない)
かのじょの背筋がすきでした
(あなたの大きな乳房がすきじゃない)
血のめぐる週末
( 081028 )
似合わないぼうしと
不釣り合いなそら
色を落としはじめた風景のなか
歩き走るひとの思惑と
灰色のクルマ
それがなんだかとても、憎い
世界の噛み合いはいつも曖昧で
喪ったほしの隙間をぼかすのは
なみだじゃない
(てじな)
(まさか)
しょっぱいピーナッツ
はだざむさ
不機嫌なコーヒー
、
捉えなかったいっしゅん
( 081009 )
なんであのひとは欲しがるのだろう、
征服欲を恋愛と勘違いしているのじゃないかなあ、なんて思う、
わたしさ、プールのほうがいい、海よりも、って言ったけれど、
ほんとうはね、海の際限なく続く恐怖を忘れて、漂っていたい、
あのひとは泳ぐ、水色のプールで、
わたしは、こどくじゃないよ。
( 080722 )
たばこを吸いながら笑うなよ
分厚い文庫本を読みながら笑うなよ
(真実の中身はからっぽ)
溶けた氷は無実
渋いアイス・ティーの独白
混ざり合ってしまえば皆いっしょ
水玉模様の顔をして
縞縞模様の脳味噌でなにを考える
笑うなよ
システムになってしまえば。皆いっしょ、そうでしょ、コーヒー
( 080719 )
シグナル、シグナル、
路傍に際限なく、
トリックもマジックもないんですよ、
ゴミバコに見覚えのない精液の溜まったコンドーム見つけたって、
あの子がどこの男とセックスしてようが、
どんな事象を示す暗号信号であろうが、
路傍の夜逃げ人に訊けばどうでもいいのでしょ、
( 080719 )
■丘
ころがりおちて、梺のみずうみで、おぼれよう
■湖
鳥はとびかたをわすれたような目で、あわぶくに線を投げかけて
■底
土のなかで孵化したそれが、酸素をわたしにおくっている
■喉
わたしは沈んで、しんだのか、ちくりちくり、目が疼く
■肩
こまかな魚たちが、ゆびさきを啄み、嚥下、とかされたわたし
( 080719 )
わけのわからないことばでしゃべってしゃべって
ぺちゃん
くちゃん
アイスコーヒーに後悔
冷えたからだが疎ましい
( 080523 )
「牛乳」
みるく、みるく
色濃くのこるざんぞう
陰にみる
あたまに笑顔はりつけて
見事!見事!
せかいのかわるおと
あさ、ひる、よる
リズムのなかに誰をみつけるのだ
ようえんに、ようえんに、誘いたまえよ
しろいえきたい
えきたい?
( 080505 )
「いろごと」
しめったはだにすいついて
あたまをだきよせて
はいってくるかんかくも
いたみすら
ことばをわすれるぐらい
あいしてもいないおとこに
だかれるのに
いとしくてたまらなくなるのは
あついはだがわたしをさそうからだ
かんせつがふるえるけど
わたしはまたがってこしをふって
だれにおしえてもらったのって
ことばはわすれちゃったのよ
たばことこーひーのにおいがしない
きすがしたいなって
やにくさくないまくらにしずみたいなって
おもってるの
しらないんだよね このひと
( 080502 )